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【後編】旧青木家那須別邸とは・・・

今回は那須の風を感じながらお花見できる旧青木家那須別邸(以下:旧青木別邸)のスポットをご紹介いたします。
前回の記事では、【前編】季節を楽しむお花見スポット「ハンナガーデン」と 道の駅「明治の森・黒磯」をご紹介させていただきました。こちらの【後編】の記事では、旧青木家那須別邸についてご紹介いたします。
旧青木別邸はドイツ公使や外務大臣等を務めた青木周蔵氏が那須別邸として建てた建造物となります。

※お花の見頃については気候によって左右されます。(お花の見頃は道の駅 明治の森・黒磯の公式instagramからチェックできます。)

INDEX

旧青木別邸のアクセス

 那須ガーデンアウトレットから車で約10分 

旧青木別邸は板室街道沿いにあります。黒磯駅からは車で約14分、那須塩原駅からですと車で約20分ほどになります。
黒磯駅からですとバスも出ています。「JR黒磯駅→板室温泉」のバスに乗り「青木別荘前」で到着できます。
(2021年11月現在:バスについては事前にお調べいただくことをお勧め致します。)

住所:〒325-0103 栃木県那須塩原市青木27

・旧青木別邸

見づらいですが、Pのマークが駐車場です。
Pのマークが駐車場です。

旧青木別邸は、道の駅「明治の森・黒磯」の近くにあります。駐車場は道の駅側とハンナガーデン側に二箇所あります。

那須塩原の予約制タクシーサービス「ゆ〜タク」の停留所にもなっていますので、「ゆ〜タク」を使用される方にも便利です。
ゆ〜タクについてはこちら

旧青木家那須別邸について

旧青木家那須別邸(以下:旧青木別邸)ですが、こちらは冒頭でも説明したように明治時代に、ドイツ公使や外務大臣等を務めた青木周蔵氏が那須の別邸として建てた建造物になります。
使われなくなった旧青木別邸は平成7年(1995年)に栃木県に寄贈されています。
寄贈された後は、建物の解体調査が行われ、解体後は元の位置から約50メートルほど手前に移動され建て直されたそうです。

この旧青木別邸までの一本道は多くの木で囲まれており、絵本の世界のような不思議な雰囲気を醸し出しています。

旧青木別邸から眺めた一本道

奥まで続くこの長い道は青木周蔵氏がご家族と馬車で行き来していたと言われており、のどかな自然の中で馬車に乗る姿を想像するだけでロマンを感じますね。

一本道を終えると、そこに旧青木別邸の全体を見る事ができます。一本道までは暗い印象でしたが、旧青木別邸までたどり着くとオアシスかのように真っ白で美しい建物が迎えてくれます。

取材時は太陽が見え、天気が良い日でしたので青空と白い壁の旧青木別邸を撮影することができました。今では洋風な建物は多く見られますが、建てられたのは明治21年(1888年)という事ですので、当時の那須の住民の方達も初めてみる建築デザインにさぞ驚いた事でしょう。
今の時代でも住宅としては驚くほどの規模と素晴らしい建築デザインで、外観だけ見てもワクワクが止まりません。

美しく咲くサルビア

旧青木別邸の周りにもお花があり、こちらもコスモスを管理している農業公社の方々で植えているそうです。こちらの花は春夏秋冬に合った花が咲くように管理しているとのことですので、旧青木別邸に加えてどんな花が咲いているか注目してみてくださいね。

旧青木別邸は国指定重要文化財と日本遺産構成文化財になっています。
建物自体が貴重であり、設計者はドイツで建築学を学び、七十七銀行本店や台湾鉄道ホテル等の設計をした松ヶ崎萬長氏(つむなが)とのことです。

旧青木別邸は、その松ヶ崎萬長氏の日本に残る唯一の作品とのことで、軸組と呼ばれる木造の組み方の構成方法や小屋組と呼ばれる屋根の構成方法、組み方をドイツ様式で採用し、外壁に鱗形のスレート(板状の建材)を使用したりと洋風なデザインなどといった特徴をもつ貴重な近代建築だそうです。

そんな貴重な建物である旧青木別邸ですが、中を観覧することもできます。
※緊急事態宣言など状況によっては休館になることもございます。

観覧料について

【大人】200円
【小中学生】100円

※毎月第3日曜日の「家庭の日」は、小中学生の入館料が無料となります。
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方で、手帳の提示があった場合は、入館料が無料となります。
(手帳に第1種、第1級の記載がある方については、同伴者1名も無料となります)

建物は1階、2階に分かれており、建物内にある建物案内図で配置を把握する事ができます。また、建物内に入ると受付の方から建物案内図が載っているパンフレットもいただけますので、そちらでもご確認いただけます。

夫人室

建物内には青木周蔵氏の奥様のエリザベート(エリーザベト)・フォン・ラーデ氏(Elisabeth von Rhade)が実際に使用していた家具なども置かれています。

浴室

浴室なども公開されており、当時の暮らしを想像できます。バスタブは猫足タイプで様式に拘った内装を建物内でも見る事ができます。浴槽に大きな窓というのも日本と違った形で面白いですね。

主人室

主人室にはピアノや当時使われていたストーブなども置かれています。

ストーブはアメリカ製でアメリカから輸入して来るほど使うものにはこだわりがあったのでしょうか。

主人室の隣の大食堂です。各所に暖炉があるのですが、暖炉に使われている石は栃木の大谷石が使われているそうです。しっかりとした作りの暖炉。ここで那須の寒さを凌いでいたのでしょうか。

1階をじっくり見たあとは、2階へ上がることもできます。大食堂を出て左奥にある階段を登っていきます。居室などを経て、まっすぐ進むとベランダが見えてきます。

ベランダから景色を眺めると当時の青木周蔵氏や奥様が毎朝眺めていたのかも?と思いを馳せてしまいます。
タイムスリップしたような現代に取り残されたようなノスタルジックな気分を味わえます。

青木別邸の裏側
旧青木別邸の裏側

建物内を満喫した後は旧青木別邸の周りをぐるっと探索するのもお勧めです。上の写真は旧青木別邸の裏側になるのですが、この写真に写っている右側は実は増築されたものだそうです。建物案内図を見ると、倉庫や小食堂、調理室などが広がっています。

建物案内図では左側が増築箇所
建物案内図では左側が増築箇所

そして、増築したとわかりやすいのが壁でわかるそうです。
本来の壁は蔦の葉のようなスレートが使用されていましたが、増築後はラウンド型のスレートが使用されていました。

蔦の葉のようなスレート
増築箇所:ラウンド型のスレート

こういった細かな気づきに全て意味があるという事に楽しさを感じます。建物について詳しい方はもっと深く楽しめるかと思います。

そして旧青木別邸の裏側にはもう一つ面白いものがあります。それが上の写真になります。
なんの変哲もない写真に見えますが、「旧青木別邸が建てられた明治21年(1888年)にはすでにあったのではないか。」とされている木だそうです。
また、先ほど、旧青木別邸は50メートルほど移動したと説明しましたが、この木の後ろに青木別邸があり、門として役割をしていたとも推測されています。写真ですと見えづらいのですが、後ろにある赤い花々があるところに本来青木別邸があったとされています。

この木はアスナロの木という品種で、本来であればまっすぐ上に伸びる木だそうですが、なぜか2つの木は複数の枝に分かれいろんな方向へと伸びています。木の大きさは手を回せないほどの大きさです。柵に囲まれていますが、その大きさは柵の位置からでも十分伝わる大きさかと思いますので、是非実物を拝見していただきたいです。

葉も生き生きとしており、推定100年以上経ってもなお綺麗な緑を維持しています。

旧青木別邸を移動した際にも、当時の雰囲気を踏襲するよう、同じアスナロの木を植えていたそうです。上の写真の右と、左の木がアスナロの木になります。その他にも中だけでは発見できない旧青木別邸の魅力や歴史が詰まっていますので、ぜひぐるっと一周して楽しんでいただけたらと思います。

今回は、旧青木別邸のスポットをご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
旧青木別邸の手前には「カンナガーデン」、近隣には道の駅「明治の森・黒磯」があり、季節と共にいろんな表情を見せてくれる青木別邸の景観も楽しみながら、観光していただければと思います。

※「旧青木家那須別邸」の休業日:11月から4月は毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)
 及び12月29日から1月3日まで休業となります。 詳しくは、公式ホームページをご確認ください。 
※本記事の情報は施設関係者さまからのご掲載の許可をいただいております。