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寒い日が続くようになってきた12月ですが、そんな寒い日には図書館やお家で読書などはいかがでしょうか?
今回は、親子やお友達でも楽しめる「那須塩原市図書館みるる」ご紹介いたします。図書館という施設でありながら、デザイン性にこだわった建築美で中にはカフェもあったりと、本を借りるという目的だけでなく観光としてもお勧めの施設になっておりますので、最後までお読みいただければと思います。

INDEX

「那須塩原市図書館みるる」アクセス

 那須ガーデンアウトレットから車で約15分 

那須塩原市図書館みるる(以下:みるる)はJR黒磯駅から徒歩30秒ほどで到着する駅前の図書館になります。

JR黒磯駅前からの眺め

図書館の目の前は広場になっており、土日などお休みの日には親子連れでまったりとされている方をよく見かけます。

黒磯駅前にはマップも配置されており、黒磯駅周辺の様子を確認する事ができます。

市営駐車場へのサイン
市営駐車場へのサイン

車や自転車でお越しの方は市営駐車場・駐輪場へお止めいただけます。

住所:〒325-0056 栃木県那須塩原市本町1−1

施設内について

入り口を入ると感染症予防対策として体表温度検知カメラと消毒が置かれています。こちらで、検温と消毒を行ってから入館します。

郷土資料を抜けると広い空間が広がります。

インダストリアルな無骨な雰囲気と本棚の柔らかい木の温もりが不思議な雰囲気を放っています。図書館というよりおしゃれなカフェのような、インテリアストアのような雰囲気を感じます。

案内板も一つ一つ可愛らしく、パズルのようなデザインでどこを切り取ってもシンプルでおしゃれな図書館です。

総合カウンター近くには荷物が多い方の為にロッカーも用意されています。大きなカバンを持ちながら本を探すのが大変な方や、お買い物の荷物が多い方などはこちらのロッカーを使うと便利ですね。

また、本を歩いて探すのが難しい方や、時間がない方にはロッカーの近くに検索機も配置されており、こちらの機械から本の検索をかけることができます。検索機の隣にあるのはセルフ貸出機で、すでに利用者登録されている方はこちらの機械を使って本を借りることもできます。

1階の本のコーナーについて

入り口を抜けるとすぐに、大きな文字が本棚に飾られています。
初めてみる方は驚かれるかと思いますが、みるるでは各ジャンルの中で代表的な本の中の一部を大きな文字にし、それを本棚に収めている点が他の図書館とは違う個性のある点です。この文字は言葉の彫刻、アフォリズム(aphorism)と呼ばれているそうです。「みるる」のアフォリズムは時を見て変更していく計画だそうで、気に入ったモノは変更になる前に写真に収めておく事をお勧めします♪

大きく飾られた文字
※上記の言葉の彫刻は、9月14日時点の情報です。

そして、このアフォリズムを起用した理由についてですが、今回取材の際に館長の山田さんにお話を聞きました。
「通りかかった人がこの文字を読んだときに、これはどんな本なんだろう?と興味を持ってもらって本の世界に引き込むという狙いもあります。」ということで、確かにこの文字がどこからきているのだろう?と興味が引かれるので、視覚で訴える表現方法と大胆さに「みるる」の図書館として以上の面白さが詰まっているといえます。

こちらの文字がどの本からきているかなどは文字の近くに展示されているそうです。
上の写真の右上に文字に当たる本が置かれています。

笹井宏之氏の「えーえんとくちから」

こちらですと、歌人として有名な、笹井宏之氏の「えーえんとくちから」からの引用だそうです。

笹井宏之氏の「えーえんとくちから」を紹介していた箇所は郷土資料のコーナーになっており、那須塩原や黒磯に関連した本がたくさん置かれていました。
※上記の言葉の彫刻は、9月14日時点の情報です。

郷土資料とは他に、大正10年(1921年)頃の黒磯駅の貴重な写真なども飾られています。

黒磯駅前の写真
黒磯駅前の様子がわかる写真

黒磯駅の開業についてや移り変わりなどに加えて、昔のマップなども展示されており、どのくらい変化したのかなども展示を通して知ることができます。

郷土資料の手前には日本遺産についての本や那須塩原市にある旧青木家那須別邸の青木周蔵氏に関する本などが置かれており、こちらも那須塩原に関連した本が展示されていました。

郷土資料や、日本遺産のコーナーは観光で来られた方にとっても那須塩原を深く知る事ができ、より那須塩原について楽しめるかと思いますので、お勧めのコーナーとなっています。

那須塩原の自然をテーマにしたコーナーも設けてありました

みるるは1階、2階に別れており、1階は小さなお子様向けの絵本のコーナーや、雑誌や健康・美容・暮らしについてなどの生活に関する情報の物が多く置かれています。

※上記の言葉の彫刻は、9月14日時点の情報です。

2階は通常の図書館らしく、主に文学、科学や哲学、技術・産業などを取り扱っています。司書の方々が管理しており、日々、図書館の配置など変わることもあるそうなので、探したい本がある方は、検索機で調べるか、スタッフへお尋ねください。

子供のためのコーナーがあります

みるるには、お子様のためのスペースが設けられています。
幼児向けのスペースが「えほんのもり」、児童向けが「まなびのもり」と分かれています。

こちらは絵本から文字が大きめの絵付きの本などがたくさん置かれており、本を読むスペースも椅子が小さめだったりとお子様に優しいスペースになっています。

本の配置も下側に置かれていたりと目線を考えた配置が優しいです。ジャングルジムのような面白い作りになっていて、取材時に訪れた時は本棚の空いた空間をお子様が通ったり座ったりと自由な発想で利用していました。

トンネルもあったりと、秘密基地のような建物の作りで、大人でもワクワクしてしまいます。頭をぶつけても痛くないようにクッションが付いているのも配慮がありますね。

子供が興味を湧くように表紙を全面に見せた配置

ぬいぐるみなども所々に置かれていて、本に興味を持っていないお子様でも本は楽しいという認識になるような工夫がされています。

レオ・レオニの
「フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし」のネズミ
※上記2点の言葉の彫刻は、9月14日時点の情報です。

「まなびのもり」にもアフォリズムがありました。
「私はね、贈り物の箱をあけるときのように、わくわくしてるわ。」

アフォリズムの下を見ると、「ファンタジーが生まれる時」P88から引用されているアフォリズムだとわかりました。
子供の絵本らしく、漢字が少ないのが面白いですね。子供以外でも絵本は人気で大人の方も借りている方を見かけました。可愛らしい絵と夢いっぱいの物語を読むのもいいですね。

読書の合間にカフェで一息

読書を楽しんだら、少し休憩したい方もいらっしゃるかと思います。「みるる」の中にカフェがありますので、そちらで飲食を楽しむ事ができます。カフェ「モリコーネ」ではコーヒーやちょっとした軽食もいただく事ができます。

モリコーネは那須にある「森林ノ牧場」さんが運営しており、「森林ノ牧場」で採れた新鮮なミルクで作られたソフトクリームやカフェオレなども楽しめます。また、「森林ノ牧場」オリジナルブレンドのコーヒーなどもいただけます。

開放的な空間でコーヒーの香ばしい良い香りが図書館に広がります。コーヒーを飲みながらほっと一息されてくださいね。

冬の季節ですと、温かいホットコーヒーなども良いですが、図書館の中は温かいのでフラッペなどもおすすめです。
こちらはほうじ茶ラテですが、ほうじ茶の深い香りとクリーミーで甘味のあるミルクとホイップが合わさりとても美味しかったです。

「森林ノ牧場」さんが作った、牛肉100%を使った「いのちのミートソース」などがあり、こちらはご自宅用やお土産用として購入されるのも良いですね。いのちのミートソースには「森林ノ牧場」さんの牛たちに対する感謝の熱い想いが込められておりますので、是非お読みいただいてから購入していただきたいです。興味のある方はこちらでご確認いただけます。

モリコーネでは休憩のスペースがいくつか設けてありますので、こちらのスペースにて飲食可能です。

また、モリコーネ近くのスペースに黒い球体の椅子が置かれた箇所でも飲食が可能です。
こちらはよく勉強しに来られる学生さん達の声から設けたスペースで、学生さんたちや利用者さん達の飲食スペースとして利用されています。

2階のみるるへ

2階のみるるも覗いていきましょう。

2階へは2つの階段と1つのエレベーターのいずれかから行くことができます。

エレベーター(1階)
エレベーター(2階)

今回は入って来た反対側に設置されている階段から2階へ上がりました。こちらには「みるる」と書かれた大きな看板が飾られていました。写真ですと伝わりませんが、非常に大きいので、是非実物を見ていただきたいです。

こちらの階段を登っていきます。

階段にもテーブルのような物が設置されており、座る箇所にクッションが敷かれています。

ここでも寛げるようなデザイン設計がされています。

こちらに腰をかけると、黒磯駅の周辺を見ることができます。芝が緑に茂っており、日の光もたくさんで気持ちのいい特等席です。

2階を上ると1階とは少し雰囲気が違う空間を感じるかと思います。1階はどちらかといえば開放的で迷路のような雰囲気でしたが、2階は図書館らしい(図書館なのでらしいというのはおかしいですが)空間となっています。

1階、2階それぞれA~Oまでエリアが分かれておりますが、2階のエリア表記は写真のように分かりやすくなっているため、本が探しやすいようになっています。

わかりやすいエリア表記

2階ならではのこういった橋などもあり、アフォリズムを上から見下ろすこともできます。
※下記3点の言葉の彫刻は、9月14日時点の情報です。

違う角度から見るアフォリズムは、また違った印象に感じます。

所々に存在する面展示

1階、2階と取材をしてきた取材班ですが、所々で気になっていた面展示。こちらはみるるに勤めている司書の方々がお勧めしている本だそうです。
※面展示とは…表紙が見えるように配置する本の置き方。

みるるで働くスタッフの方の多くは司書で、本のプロフェッショナルな方々だそうです。こう言った面展示は日々更新されており、スタッフの方々の本を愛する気持ちが反映されています。

一つ一つ手作業で作られたポップ

また、このようなポップなどもあり、読んでいて楽しいので、ついつい手に取ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本だけじゃない、みるるで借りられるもの

みるるは本だけでなく、CDやDVDなども借りることが可能です。

懐かしいCDや新作まで色々と取り揃えているそうで、CDやDVDコーナーでは多くの方が立ち止まっておりました。

落語のCDもあります

レンタルショップでは並ばないような、貴重な伝統芸能のDVDなどもあります。

また、目が不自由な方や、耳が聞こえない方の為に、「マルチメディアデイジー」や「点訳図書」が置かれております。

の魔女の宅急便
マルチメディアデイジーの魔女の宅急便
点訳図書の美女と野獣
点訳図書

こういったサービスは全てボランティアで行われており、「マルチメディアデイジー」や「点訳図書」はボランティアの方々の協力があり、数を増やしていっているそうです。

そのほか、図書館に来るのが難しい方や、本を読むのが難しいという方のために様々なサービスを行っています。
気になる方はスタッフの方へお尋ねいただくか、「みるる」へ直接ご連絡ください。

読書スポット・勉強スポット

みるるの魅力の一つは読書できる場所やスタイルが様々ある所です。従来の図書館のイメージで言えば、図書館の読書スポットや勉強スポットは机と椅子があるイメージですが、みるるの場合は机がない場合や、椅子の形や机の形、先ほど2階へ上がってきた階段のように、椅子ではなく建物の一部が椅子のようになっていたりと個性があるスペースが多いです。

自分だけのお気に入り空間を見つけて自分と本だけの世界にのめり込めるような造りになっているので、本に集中したい方にも嬉しいですね。今回はいくつかのスポットを紹介いたします。

黒磯駅側のスペース

こちらは目の前が黒磯駅前になっており、ガラス窓になっているため、誰とも目を合わせることなく、自分の世界に没頭できるような椅子の配置になっています。

こちらは学習ブースB-3で一人で勉強や読書、調べ物を集中して行えるような空間となっています。

こちらは学習ブースA-3で複数人で利用が可能です。グループ研究や一緒に学習する際にぴったりなブースですね。
※コロナ感染症予防で利用が制限されることもあります。

こちらはアクティブラーニングスペースで、読書、勉強、グループでのディスカッションなど幅広く利用可能です。

会話禁止の「サイレントラーニングスペース」もあります。

こちらは読書や勉強に集中したい方のためのスペースで、利用するためには予約が必要です。

座った目の前には、植物が置かれていますので目の前の人の視線を気にせず読書に集中できそうですね。

予約は2階にあるこちらのカウンターで行えます。
※「サイレントラーニングスペース」はコロナ感染症予防対策により、使用できない場合もございます。

みるるについて

図書館を一通り見てきましたが、みるるの魅力が伝わりましたでしょうか?ここからはあまり語られていない「みるるという名前の由来やみるるができた経緯となど」について、館長の山田さんからお話を聞いてきましたので、そちらをご紹介していきます。

みるるの名前について

地域活性化の活動の中には「みるる」の他に「那須塩原市まちなか交流センター」というものが作られました。そこで図書館と、那須塩原市まちなか交流センターの名前を公募したそうです。
公募した中で、当時小学生が「みるる」と「くるる」と名付けたとのことです。

可愛らしい響きと、「みるる」「くるる」を足すと那須塩原市の代表的な産業である「みるく」を連想するような面白いアイディアが好評で決定したそうです。

建築について

建築にもこだわりがあり、設計を担当されたのは建築家の伊藤麻理(いとうまり)さんです。図書館という場所は本来のイメージですときちっとした厳格なイメージがありますが、天井の板をあえて違う幅の板を使い厳格なイメージから、少し優しい雰囲気を表現し、図書館で本を読む方にとっても堅苦しくない空間を作り上げています。

また、天井にはいくつか天窓もあり、木の間から見えてくる光は木漏れ日のような印象を与え、まるで森にいるかのような気持ちのいい空間を味わう事ができます。

みるるができるまで

みるるを作ろうとなった経緯は、黒磯駅前をもっと活性化させたいという想いからできたそうです。黒磯駅ができた当初は商店街に多くの人々が行き交い市民のなくてはならない存在でしたが、時代の流れで黒磯の駅前の賑わいが薄れていきました。そんな中、地元の人たちで「駅前活性化委員会」というものを発足したそうです。そして、那須塩原市が黒磯駅の跡地利用で駅前の再生整備計画を立ち上げた際、「目玉として図書館を。」という話の流れになったそうです。それが平成28年(2016年)だったそうです。

そこから計画は進み、完成目標を図書館を建てるのであれば、「素晴らしい図書館を。」という想いを信念に、「どんな図書館がいいのか、どんな図書館があったら嬉しいか。」ということをワークショップの中で徹底的に地元の人の声を聞き、地元の人たち・市民の人たちの声を参考にして作り上げたのが「みるる」だそうです。

そして建築についてはコンペで募集し、その中でたまたま選ばれたのが那須塩原市出身の建築家 伊藤麻理(いとうまり)さんだったそうです。完成予定は2019年でしたが、1年伸び、2020年の3月に完成し、同じ年の9月にオープン致しました。予定よりも多くの時間を費やしたのには大きな苦労と努力があったことかと思います。

計画には約5年もの月日をかけ、たくさんの人に支えられ、そして作られた「みるる」は那須塩原市の市民の憩いのスポットとして、また観光地として今も多くの方に利用されています。

みるるにはカフェもあり、ほっとしたひと時をお過ごしいただけます。寒い季節にはコーヒーやホットココアを飲みながらゆっくりと読書を楽しむのもおすすめです。
本だけでなく、カフェや、建物自体も楽しめる「那須塩原市図書館 みるる」へ是非一度足を運んでみてくださいね。

※本記事の情報は関係者さまからご掲載の許可をいただいております。